蝶々喃々

hal

2010年01月21日 10:05




男女がうちとけて小声で楽しそうに語りあうさま


という意味のタイトル

蝶々喃々(ちょうちょうなんなん) / 小川糸著



年末から、図書館で借りていたんだけど
開いてみたら、お正月の風景から始まるお話だったので、
年が明けてから読もうと、今年1冊目となった本です。

読み終えてから、だいぶ日が経ってしまいましたが・・



小川糸さんというと、
初めて読んだ作品「食堂かたつむり」の印象が
とても強く残っていて、この本を開くのも楽しみでした。


このストーリーの舞台は、東京・谷中。
谷中というと、東京の下町で
いまでも情緒ある雰囲気が残っているところ。

そんな町でアンティークのきもの屋を営む主人公。
近所づきあいを楽しみながら、静かに暮らしていたある日、
父親と声が似た1人の男性客がお店を訪れ・・

いつしか恋心を抱くようになる。

おいしいものを一緒に食べたい。
そう想える大切な男性。

しかし、その人の左手薬指には光るものが。




好きなひとと、
おいしいものを食べること。

それは、最高の幸せだと思う。

この本の中に登場する「おいしいもの」も
とても魅力的なものばかり。


そんな「おいしいもの」を食べながら、
次第に2人の距離も近づいていくのだけれど・・

うーん、なんだかすっきりしない私の胸のうち。

幸せだなぁと、
心の底からいえないこの関係が、せつなくて。


でも、
この本の中では、
下町の温かい人間関係や家族
趣きのある町並み、おいしい食べ物たちが
そんなせつなさをすっぽりと包んでくれているような・・


みんながみんな
幸せでいられたらいいんだけど。

難しいね、人の心は。


そんな気持ちになった
今年の1冊目なのでした。


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